03 わたしは社会、社会はわたし

新たな科学技術が世の中で使われるとき、社会と個人のどちらの側を向くのか、意見が分かれることがあります。
たとえば、新しく開発されたワクチンの接種。新しさが希望という意味で魅力的であるとともに、十分な経験が得られていなく不安であるという対立が生じ得ます。社会全体を守るにはあらかじめ多くの人が免疫をつけておくことが望ましい一方で、接種する、もしくは、接種しないという個人の裁量にも配慮することが重要です。
社会は個人の集合体であり、個人は社会の一部分という見方をしてみると、それらはお互いが両存することで成り立つ、表裏一体の関係。その時々で優先順位はあるかもしれませんが、社会のための個人の尊重と個人のための社会の尊重は、どちらも大切な考え方となり得ます。
社会と個人とをひとつながりのシステムと捉え、それぞれを同時に見るような視点を持ってみると、いったいどんな景色が見えてくるでしょうか。