01 あの目この目で

良いか、悪いか。正しいか、間違っているか。私たちは普段、世の中のできごとを単純な二元論で判断しがちではないでしょうか。本当は頭のどこかで、世の中が思っているよりも複雑であるとわかっているにもかかわらず。
たとえばウイルスの研究は、予防や治療に役立つ価値がある一方で、毒性の強いウイルスの知識が得られたり、作られてしまう可能性もあります。
前後左右から、上下から、ときには斜めからというように、普段とは異なる角度からものごとを眺めてみると、善悪の基準やその隙間に潜む事実、善悪で割り切れない要素を発見できるはずです。
このような視点について考えることは、私たちに本来備わっている多角的視点に意識を向ける姿勢、ともいえるのかもしれません。